・Mgr 菊池
照明の機材と格闘しているのは、生駒さん。
通常は東京に住むSTAFFでツアーチームは形成されますが、彼女は普段、金沢に住んでいます。移動行程や手配に一手間多く掛かる金沢起点の彼女がTour Crewに組み込まれている事自体が生駒さんの仕事ぶりと信頼を証明する何よりの事実なワケです。
生駒さんは「フォロースポット オペレーター」所謂ピンスポットを操作するスタッフです。通常、楽屋から一番遠い最上階の更に上に登った「ピンルーム」がメインの仕事場ですが、今日の「つくばノバホール」は有り得ない程珍しく、二階席からは丸見えの客席の中にエリアがもうけられていました。
今年の葉加瀬のツアーでは、会場によって違いますがピンスポットは2本〜4本、彼女が操作するピンスポット以外は各公演の街で手配する現地の照明会社「現地照明」と呼ばれるスタッフが担当します。
当然、現地スタッフはツアースタッフのように葉加瀬の曲を理解していませんし、ギターソロやチェロをフィーチャーするパートがどの曲にあるか把握できていません。
それを、当日の短い打合せと的確な指示でパーフェクトに仕切りきるワケです。
インカム(ヘッドフォンにマイクが付いたテレビのADがよく付けてるヤツ)をつかって、本番中は、"しゃべりっぱなし"です。 ずーーーと、自分以外のピンスポットスタッフに指示を出し続けています。
「この後、間奏になります。間奏でオールピンカットアウトです」
「間もなく間奏です」
「カットアウト、スタンバイ!」
「Go !」
「間奏明けでチェロ、上半(上半身サイズの小さなサイズ)でアンバー(夕焼け色)です」
「間もなくチェロ、フェイドイン(徐々に明るく)です」
「チェロ、スタンバイ!」
「ゆっくりどうぞ !」
その間にも生駒さんは間奏のギターを照らし、次のスタンバイをして間奏明けの葉加瀬を照らします。ギターのマサ君から葉加瀬の距離はステージ上では5メートル程ですが、ピンを動かすのは数センチ、微妙で細かく慌ただしい集中力と曲の理解を求められるセクションです。
ピンが無ければ、客席からは葉加瀬の表情はまるで解りません。メンバーのソロパートのフォローが一瞬遅れただけで大きな違和感を感じさせてしまいます。
普段は楽屋から裏導線を通りピンルームに行く生駒さん。
今日は、まるで違う客席中のエリアで尋常じゃなく緊張していたと思います。
いつもは動きやすい服装で本番を行いますが、「今日は客席だからそれじゃダメだろー」とスタッフ皆に言われましたが、着替える服がありません、、、、、
イレギュラーでツアーに参加する舞台監督・長谷部さんが預けて置いているスーツを勝手に着てみました。
ブカブカなのに、葉加瀬と並ぶとそんなに気にならないのはナゼでしょう?